繊細さん

HSPという性質

お仕事が続かず傷つき疲れやすいあなたはHSPかも?知っておきたいHSPの特性と対策

HSPは察する能力に長けている反面、刺激にとても敏感

HSPとは、ハイリー・センシティブ・パーソン(Highly Sensitive Person)の頭文字を取ったもので、直訳すると「非常に敏感な人」という意味です。

一般的に、HSPは刺激に対して敏感に反応する人の特性を指します。

この刺激の強度や頻度によってはストレスとなって体調に現れるといった繊細な面がある反面、HSPは普通の人が気にしないような細部への注意深さや、鋭い洞察力、深い共感力といった能力を有しています。

私まけまなもHSPです。HSPである人もそうでない人も、HSPという性質を知ることで悩ましい人間関係がぐっと楽に感じられるはずですので、これよりHSPについて深く掘り下げていきます。

HSPに共通する性質「DOES」とは

冒頭でHSPの特性に触れましたが、これからご紹介する「DOES(ダズ)」は、ご自身や周りの方がHSPであるかどうかを判断する簡易的かつ代表的な性質といえます。

これらの性質は、アメリカの心理学者であるエレイン・アーロン博士(以下、「アーロン博士」)が、HSPの研究を行ったことで発見したHSP共通の性質です。

全てに該当した場合、HSPである可能性が高いです。「DOES」の語源は「HSP」と同じくそれぞれ次のような英語の頭文字から成り立っています。

Deep Processing(深い処理)

HSPの人は、周りからの刺激に対して人一倍敏感で、わずかな情報でもそれを深く捉えようとする特性を持っています。一つのことについて深く考えたり、感じたりすることが得意です。

例1: 映画鑑賞

普通の人が映画を見ると、ストーリーの大筋や主要な出来事に注目することが多いです。しかし、HSPの人は映画のセリフや表情、背景の細部など、普通の人が気にもしないような部分に敏感になります。これによって、映画の雰囲気や登場人物の感情に深く共感することができます。

例2: 話し相手との会話

普通の人が会話をする際、大まかな内容や要点を把握することが主であり、細かい言葉遣いや表情にあまり気を使わないことがほとんどです。しかし、HSPの人は相手の言葉のニュアンスや感情の微妙な変化に細心の注意を払います。これによって、言葉の内容以上に相手の気持ちや意図をより深く理解することができます。

例3: 自然の観察

HSPの人は、自然界の小さな変化にも敏感に反応します。たとえば、晴れた日の空の青さや風の匂い、季節ごとの植物の成長など些細な変化に敏感です。これによって、自然とのつながりを深めることができます。


「Deep Processing(深い処理)」の特性によって、HSPの人は周囲の細かな変化や情報に気づき、豊かな感受性を活かして世界を捉えることができるのです。

Overstimulation Sensitivity(刺激過敏性)

HSPの人は、周囲からの刺激に敏感で、過度な刺激を受けると不快感や疲労を感じやすいです。これは、普通の人よりも刺激の影響を受けやすい特性からきています。

例1: 騒がしい場所

普通の人が賑やかなカフェや人が多い場所に行くと、騒音や人混みがあってもあまり気にしないでいられます。しかし、HSPの人は騒がしい環境で過ごすと、刺激が過多になることから不快感や疲労を感じることがあります。

例2: 明るい光や強い匂い

普通の人が明るい光や強い香りに対してあまり敏感に感じないことがありますが、HSPの人はこれらの刺激に強く反応してしまいます。明るい照明や強い香りが視覚と嗅覚へ過剰な刺激となり、不快感を引き起こす可能性があります。

例3: 強い感情の表現

HSPの人は、他人の強い感情の表現や感情的な場面にも敏感です。映画やテレビ番組で感情的なシーンを見ると、その感情に感化され、時には涙、時には胸が締め付けられるような感覚になることがあります。


「Overstimulation Sensitivity(刺激過敏性)」の特性によって、HSPの人は環境からの刺激に敏感に反応し、その影響を受けやすいです。過度な刺激から身を守るために、自身の許容度を理解し、ケアや適切な休息を心掛けることが大切です。

Emotional Responsiveness(感情的な反応性)

HSPの人は、他人の感情や状況に敏感に反応し、共感や感情の共有が得意です。他人の気持ちを理解することや感情的なつながりを大切にする特性です。

例1: 他人の悲しみに共感する

普通の人が友達の悲しい話を聞いても、あまり感情的にならないことがあります。しかし、HSPの人は友達の悲しみや辛い出来事に対して深い共感を示し、まるで自身も同じ体験をしたかのように共感することがあります。

例2: 喜びや幸福感の共有

HSPの人は他人の喜びや幸福感にも敏感です。友人の成功や幸せな出来事を聞くと、その喜びを共有し、一緒に喜んだり祝福したりすることがあります。

例3: 非言語的なサインへの反応

他人の微妙な表情や仕草にもHSPの人は敏感センサーが働きます。たとえば、相手が微笑んでいるのにどこか悲しげな目をしている場合、それに敏感に反応して「どこか元気がないように見えるけど大丈夫?」と尋ねることもできます。


「Emotional Responsiveness(感情的な反応性)」の特性によって、HSPの人は他人の感情や状況に共感し、人間関係をより深く築くことができます。他人との感情的なつながりを大切にし、サポートや共感を提供することが得意です。

Subtle Details(微妙なディテール)

HSPの人は、周囲の環境や状況にある微妙な変化や細部に気付き、反応します。これによって、普通の人が見落とすような細かな情報を捉えることが得意です。

例1: 環境の変化に気づく

HSPの人は部屋の照明が微妙に変わったり、気温がわずかに上昇したりするような変化に敏感です。これによって、環境の変化に適応することも早い傾向があります。

例2: 言葉の選び方やニュアンスに注意を払う

HSPの人は他人の言葉遣いやニュアンスにも敏感です。微妙な言葉の選び方や表現によって他人の意図や感情をより正確に理解することができるため、丁寧な言葉づかいや態度を心がけるため「優しい人」と認知されやすいです。

例3: 芸術作品の細部を楽しむ

絵画や写真、音楽などの芸術作品に対して、HSPの人は微妙な色彩や模様、音のニュアンスに敏感です。これによって、作品の深い世界に入り込めるため、その魅力を存分に楽しむことができます。


「Subtle Details(微妙なディテール)」の特性によって、HSPの人は細かな情報や変化に気づくことで、環境や人間関係においてより詳細な理解を持つことができます。これによって、深い洞察力や感受性を発揮することができるのです。

「DOES」それぞれの項目の中で紹介した例は、ごく一部分に過ぎません。あなたやあなたの周りの人に「もしかして」と当てはまる部分があれば、上記の例を参考にコミュニケーションの取り方を見つめ直す機会としても良いのかもしれません。

HSPも更に4つのタイプに分類できる

前述の「DOES」全てに当てはまる方がHSPであると紹介しましたが、実はHSPの中にも次の4タイプに分類できる名称と特性が同じくアーロン博士によって提唱されていますので、それぞれご紹介します。

内向型HSP:通称「HSP」

特徴
内向型HSPは、感受性が高いだけでなく、内向的な性格を持っています。静かで繊細であり、独自の内面世界に没頭することが多いです。

特性
深い思考や感受性を大切にし、豊かな感情を持ちながら、自己反省や内省を大切にします。社交的な場面では緊張することもあるが、深いつながりを求めることがあります。

外向型HSP:通称「HSE」

特徴
外向型HSPは、感受性が高い一方で、社交的で活発な性格を持っています。新しい体験や人間関係を楽しむことが多いです。

特性
新しいことへの好奇心が旺盛で、他人との関わりを楽しむことが得意です。感受性を持ちつつも、社交的なスキルを活かして人々とのコミュニケーションを楽しむことがあります。

刺激追求型HSP:通称「HSS型HSP」

特徴
刺激追求型HSPは、感受性が高いだけでなく、新しい刺激や冒険を求める性格を持っています。興奮や挑戦を追求することが特徴です。

特性
新しい経験や刺激的なアクティビティに興味を持ち、冒険心が旺盛です。一方で、過刺激に敏感に反応することもあるため、バランスを保つことが大切です。

刺激追求型・外向型HSP:通称「HSS型HSE」

特徴
刺激追求型・外向型HSPは、感受性が高いだけでなく、社交的で新しい刺激を求める性格を持っています。活動的で冒険心が旺盛です。

特性
新しいことに挑戦することを楽しむ一方で、感受性を活かして人々とのつながりを楽しむことができます。興奮を求めつつ、自己ケアも大切にします。

上記4つのタイプは、感受性の高さに加えて、性格や好みによって異なる特性を持っています。HSPであること以前に、人それぞれにある個性というものです。
あなたや周りの人がどのタイプに当てはまるか理解を深めることで、自身の生きやすさや円滑なコミュニケーションを行うためのヒントになるかもしれません。

HSPの人が向いている職業5選

HSPの特性に合った職業を見つけることは、個人によって異なる場合がありますが、一般的にHSPに向いているとされる職業とその理由を5つずつ挙げてみましょう。

心理カウンセラー・セラピスト

<理由>HSPは他人の感情に敏感で、共感力が高いため、クライアントの感情に寄り添いやすく、効果的なカウンセリングを提供できる可能性があります。

芸術家・作家

<理由>HSPは感受性が高く、深い思考や豊かな感情を持っています。これにより、芸術作品や文学作品を創造的に表現する能力があるとされています。

環境保護活動家

<理由>HSPは細かいディテールに注意を払い、自然の変化や環境の影響に敏感です。環境問題への理解と関心を持ち、環境保護活動に貢献できる可能性があります。

医療・看護師

<理由>HSPは他人の状態や感情に敏感で、思いやり深い性格を持っています。医療や看護の分野で、患者との対話やケアを通じて良い影響をもたらすことができるでしょう。

研究者・分析家

<理由>HSPは深い思考と注意力の高さを持っています。研究や分析の分野で、複雑なデータや情報を深く掘り下げ、洞察力豊かな仕事を遂行できるかもしれません。

前述のとおり、これらの職業にも個人差があり、全てのHSPに当てはまるわけではありません。
個々人の特性や興味、スキルに基づいて適切な職業を見つけるためには、自己分析や専門家のアドバイスを受けることがより重要となってきます。

HSPの人に不向きな職業5選

HSPの特性に合わないとされる職業について5つ、その理由とともにご紹介します。ただし、個人差があるため、必ずしも全てのHSPに当てはまるわけではありません。「一般的に」HSPには向かないという前提でご覧ください。

営業・販売業

<理由>営業や販売業は、外部とのコミュニケーションが多く、ストレスや圧力がかかることがあります。また、拒絶されることや状況の変化に敏感に反応することが難しい可能性があります。

緊急対応業務(警察、消防、救急など)

<理由>緊急対応業務は、高圧的な状況や緊急性が求められるため、感情的なストレスが大きい場面があります。瞬時の判断や冷静な対応が求められることがHSPには難しい可能性があります。

大規模なイベント運営・プロモーション業務

<理由>大規模なイベントやプロモーション業務は、多くの人々との接触や刺激的な状況が多いです。刺激過多や感情のコントロールが難しい可能性があります。

高圧的な組織文化の下での管理職

<理由>高圧的な組織文化では、ストレスやプレッシャーが日常的にかかることがあります。また、人々との対立や緊張を管理することが難しい可能性があります。

メディアやエンターテインメント業界

<理由>メディアやエンターテインメント業界は競争が激しく、公的な注目を浴びることが多いです。これにより、ストレスや批評に対する感受性が大きく影響する可能性があります。

これらの職業がHSPに向かないとされる理由は、刺激過多や感情のコントロールが難しい状況が多く、HSPの特性とは合わない場面が多々あるためです。ただし、個人のスキルや志向性によっても異なるという点は再三になりますがお断りを入れておきます。

HSPの特性に悩む人が快適に社会人生活を過ごすためのコツ5選

HSPの特性に悩む人が快適に社会人生活を過ごすためには、以下のような行動や考え方を行うことで悩みが解消・軽減される可能性があります。

環境の調整

HSPの人々は、照明や音響などの感覚刺激に対して敏感であることが一般的です。職場での照明の調整や、適切な静音設備の導入などが効果的とされています。(参考: 2010年『日本環境心理学会誌』より)

<対策>

  • 調光機能付きの照明の使用
  • 騒音の少ないオフィスエリアへの配置
  • ヘッドフォン等の個人的な対策

上記の工夫により、集中力の向上やストレスの減少が期待されます。

適切な休息とリラックス

HSPの人々は、疲労が溜まりやすい傾向があるため、適切な休息とリラックスが重要です。(参考: 2012年『日本睡眠科学会誌』より)

<対策>

  • 定期的な休憩の取り入れ
  • 個人に合ったリラックス方法の実践(例: 趣味、瞑想など)
  • 良い睡眠習慣の確立

上記を取り入れることで、心身の健康の維持と職場でのパフォーマンス向上が期待できます。

自己理解とコミュニケーション力

HSPの特性の自己理解と、それを周囲に伝えるコミュニケーション力を身につけると良いでしょう。(参考: 2015年『日本心理学会誌』より)

<対策>

  • 自己分析によるHSP特性の理解
  • 上司や同僚への適切な説明と理解の促進
  • 必要に応じた職場環境の調整の提案

上記を実施することで、職場での円滑な人間関係の構築と適切な職務の遂行につながります。

感情のコントロール

HSPの人は、感情の変動が激しい傾向があるため、次のような感情のコントロールが効果的です。(参考: 2017年『日本ストレス科学会誌』より)

<対策>

  • マインドフルネスや瞑想の実践
  • 感情の自己観察とリフレクション
  • 必要に応じた専門家への相談

上記を実施することで、日常的なストレスの管理や精神面の健康を保つ効果が期待できます。

専門家による協力

HSPの特性に合わせた専門的な対処法を学ぶために、心理カウンセリング等の専門家と連携をすることでより快適な環境を保つことに繋がります。(参考: 2016年『日本臨床心理学会誌』より)

<対策>

  • 定期的なカウンセリングの利用
  • 職場での支援体系の確立
  • 専門家による適度な職場への介入

これらいずれの方法も、HSPの特性に悩む社会人が、職場での健康と職務を全うするために欠かせない対策といえるでしょう。自分に合った対策を見つけ、実践することで、より充実した社会人生活が送れるはずです。

まとめ:HSPの人はまず自身を理解して環境と心身を整える

このように、HSPは察する能力や共感力に長けている反面、刺激にとても敏感な特質であることが分かったかと思います。

HSPであることを理解できていないと、生きづらさや仕事でもなぜ上手くいかないのだろうと感じる場面に出くわすこともあるかと思います。

そして、私まけまなは「うつ」を経験しました。自身がHSPと理解してからは、多少の波はあるものの、記事の中にあった身の回りの環境を整えながらうまく気分をコントロールできていると感じています。

『辛いことからは逃げても良い』。「うつ」の期間中に学んだことです。「うつ」の体験を電子書籍にまとめています。興味有る方はぜひ読んでみてください。

  1. 繊細さん

    HSPという性質

    お仕事が続かず傷つき疲れやすいあなたはHSPかも?知っておきたいHSPの特性と対…
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